モチの話
うちにはモチという鳥がいます。
オカメインコという種類の、小さなおうむです。
彼についての詳細は、オカメインコのオスであること。
そして2013年の8月生まれだということしかわかっていません。
そして彼は、商店街の果てにある小動物屋?で、鳥かどうかも怪しいボロボロの風体をしていました。
私と出会ったのは、2015年の1月の下旬。
とてもとても寒い日でした。
彼は私を見るなり、ピュイと鳴き、餌をがつがつと食べて見せました。
あんなにがりがりでボロボロなのに、まるで僕は元気だよ!と、言うかのようでした。
店主は、これは手乗りではないし、檻から出せない。
はっきりとそう言いました。
私は、彼をうちへ連れてくることに決めました。
彼に、檻の外の世界や水につかる喜び、そして人と触れ合う遊びを見せてあげたいと思ったんでしょう。
しかし、それが偽善心なのか投影なのかはもう余り覚えていません。
彼は、鳥だというのに飛び方を知らず、環境の変化というストレスで鳴き方を忘れてしまいました。
暫くは、動かない鳴かない、まるで鳥の人形かインテリアのように、おとなしい鳥でした。
私は彼に、餅のようにまるまると太って欲しくて、オモチと名付けました。
モチは、一年かけて、換羽を繰り返し、みるみる美しい鳥に生まれ変わりました。
少しずつ、歌を思い出し、私を呼ぶようになりました。
そして、自分は飛ぶことができると知り、私の介助で飛ぶ喜びを味わうようになりました。
私に次第に慣れて来た頃、ちゃんと、我儘も言えるようになりました。
モチは私の人生で初めての、動物の友人であり相棒です。
夫よりも同居歴は長いのです。
出会ったのも、夫より一カ月程はやいのです。
モチにとって私はどういう存在か?
またモチにとって夫はどういう存在か?
それは、鳥語で聞いてみないとわかりません。
ただ一つ言えることは、彼がずっと元気に生き続けていること。
そして、機嫌の良い日は、となりのトトロを歌うこと。
後輩インコに、ヒマワリの種を割ってやること。
ただそれだけなの日常が続いていることが、私にはとても嬉しい事なのです。
ありがとう。
大好きよ。
モチ君。